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コンテクスト・マーケティングと顧客ロイヤルティの拡張が2005年のマーケティング重要課題

ネットイヤーグループ株式会社
ヴァイスプレジテント
廣中龍蔵

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顧客タッチ・ポイントの連携なくしてグッド・エクスペリエンスなし
ここ数年来、企業の資産である販売チャネルが非常に縦割り的な運営を余儀なくされていることについて問題提起をさまざまなクライアントにしてきた。
ネットイヤーグループは起業時から広義のインターネットを扱うという領域でサービス提供してきた企業である。しかしながら、例えば、企業のインターネット戦略という依頼のもとに、クライアント企業内部にコミットすればするほど、インターネットではない部分についても関心がおよび、その戦略性について大きな疑問が浮かぶのである。
マーケティング戦略を考える場合に、顧客へのリーチであったり、購買後にどのように効率的にあるいは効果的に関係性を構築するかというテーマに対し、インターネットなるものをどう手段として活用するかという議論はあるが、インターネット自体が独立して戦略性を持つものであるとは思わない。いくら、バリューがあると思われるウェブサイトやモバイルのコンテンツを考えても、それはほかのタッチ・ポイント (顧客接点) とどのように協調するかという視点がなければマイナスバリューでしかない。それが、ここ数年来の”わだかまり”であった。
顧客は、通学・通勤中は携帯電話からブランドにアクセスし、昼休みにランチを取った後、わずかな時間を潜り抜けてショップを訪れて商品を確認し、帰宅後にTVCMで触発されてウェブサイトを訪れるが、最後はゆっくり入浴しながら最近発売された女性誌を眺めるのである。従って、顧客との関係性を戦略的に捉えるには、それらターゲットとなる顧客をコンテクスト (文脈) という視点で考察しながら、それぞれのタッチ・ポイントの役割を明確にし、そのタッチ・ポイントの前後のタッチ・ポイントにおける顧客と企業との関係性、すなわちエクスペリエンス (体験) を吟味しなければならない。そういう意味では、これから企業あるいはブランドは、各タッチ・ポイントにおけるエクスペリエンスの統合、エクスペリエンス統合戦略をマーケティング戦略の基点におかなければならない。
従って、賢明な読者はすでにお分かりのように、それらブランドと顧客が接触する基点、すなわちタッチ・ポイントにおける関係性 - エクスペリエンス - をどう構築していくかという視点に立つときに、リアルなプロモーションが大いに威力を発揮する場合もあれば、インターネットプロモーションが想像を絶する成功体験を成し遂げる場合もありうるわけである。

顧客ロイヤルティの効果的な伝播を戦略に埋め込む
もうひとつ、今年のマーケティング戦略を考える場合に重要な視点がある。顧客ロイヤルティの拡張という考え方をさまざまなマーケティング戦略にビルトインすることである。
ワン・トゥ・ワンマーケティングが一時喧伝されたが、ブランディングの最重要課題を置き去りにしたままで議論が進んだために蛸つぼ的な発想になり、なかなか我が国で根付かない状況にある。ブランディングの最重要課題とは、顧客ロイヤルティの拡張というテーマである。ブランディングは決して、ブランドと顧客の1対1の関係性からは生まれない。ブランドエクイティのプレミアム部分に必ず、顧客自身の自己充足のほかに第三者からの保有していることに対する期待感、羨望ということが含まれているからである。従って、ブランドを保有していることに対する充足感を第三者にも拡張するしくみを戦略に埋め込むことが重要になってくる。第三者もそのブランドを保有し、再度、周辺にロイヤルティを拡張していけば、そのブランドは指数的に成長が促進されるであろう。
例えば、ルイ・ヴィトンというブランドを考えてみよう。
ルイ・ヴィトンというブランドは長い年月において、特に日本で成功しているブランドのひとつである。そのブランディングの構築は実は緻密に設計されている。まず、セレブリティに対しては徹底的にワン・トゥ・ワンでマーキングしている。著名な若手の歌舞伎役者用に、オーダーメイドの移動用化粧箱を制作する。そのオーダーメイド感により高級ブランド感を一気に高める。その際に、ワン・トゥ・ワンマーケティングだけにとどめることをしない。ここが収益をもたらす大きな戦略である。これらの情報をパブリシティのごとく敏感な媒体に流して、マス・マーケティングの手法に組み入れる。ワン・トゥ・ワンでマーキングしている顧客ロイヤルティをマス・マーケットに伝播させることによって指数的な顧客ロイヤルティの拡張を行っているのである。
昨年のハーバード・ビジネス・レビューでベイン・アンド・カンパニーのフレデリック F・ライクベルド氏が大規模な顧客ロイヤルティに関わる調査 (注1) を発表している。顧客ロイヤルティの高さと顧客の行動様式の相関関係について調査したものであるが、顧客ロイヤルティの高い顧客は、「親しい知人にそのブランド・会社を紹介したい」というアクションを起こすことが明らかになった。従って、前章で顧客タッチ・ポイントにおけるエクスペリエンスのよどみない連携について述べたが、その各タッチ・ポイントにおけるエクスペリエンスの構築の中に、顧客ロイヤルティの拡張 - 親しい知人にそのブランドを紹介する - というタクティクスが設計されているかということが顧客戦略のもうひとつの鍵になる。実は、このタクティクスにはインターネットが有効である。インターネットはその指数的な拡張性を本質的な特徴として備えているからである。この顧客ロイヤルティの拡張、伝播とインターネットの特質を統合させた戦略性がマーケティング戦略の中に包含されているかいないかによって、その後のブランドの成長性に大きな差異が生まれるといっても過言ではないだろう。


今年はいよいよ広義のインターネットの世界がおもしろくなると予感している。メディアとしていよいよ存在感を示してきたし、これまでの画一的なメディアミックス感で戦略を構築していると大幅な修正を迫られるかもしれない。
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