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今後のコーポレートサイトにおける情緒的な感動の必要性 (前編)

ネットイヤーグループ株式会社 戦略コンサルティンググループ 西村 崇徳

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言うまでもなく、インターネットは能動型のメディアなので、コーポレートサイト (企業のメインのウェブサイト。"www.会社名.co.jp" というURLの場合が多い。以下、企業サイトと表記) に関わらずどのような類のサイトであれ、ターゲットとなる顧客にアクセスしてもらわないことには始まらない。そのためサイトへのアクセス数を向上させるための施策は百花繚乱であり、枚挙に暇がない。ただ、特に企業サイトにおいては、これからはサイトへのアクセス数があるのは当然のこととして、サイトにアクセスさせて何をさせたいかという部分がフォーカスされていくことだろう。
これを裏付ける三つの事実がある。
一つは昨年「Web広告研究会」が企業サイトの担当者に対して実施した調査「企業ホームページ運営状況調査2004」の調査結果である。そこでは企業サイトで今後力を入れたい部分としてサイトへのアクセスよりも、ブランディング、プロモーション、顧客とのコミュニケーションなどサイトにアクセスさせて何をさせるかという部分に回答が集まっている。一昔前と比較して、ブロードバンドの普及と消費者のインターネット・リテラシーの高まりにより企業サイトのアクセス数が顕著に伸びている現状がこうした回答を導いていると思われる (実際今回の調査でも、9割のウェブ担当者が前年度よりアクセス数が伸びたと回答している)。加えて、多くの企業サイトで必要な情報が混在していた以前と異なり、今ではどこの企業サイトも情報の整理が進みユーザーは必要としている情報に容易にたどり着くことができるようになった。それは訪問者にとっては勿論望ましいことでもあるが、企業にとってはその部分での差別化ができなくなったことも意味している。
二つ目の事実は、近年の ".jp" という汎用ドメインの隆盛である。汎用ドメインとは ".com"、".co.jp "とは違って取得が容易なドメイン体系であり、日本国内に住所があればあらゆる団体・個人がいくつでも取得できるようになっているため、様々な商品・サービス別に ".jp" ドメインが使用されている。汎用ドメインによる複数サイトの運営は当然二重の手間やコストがかかり、また検索エンジン経由の顧客に混乱を招く危険性もあるが、企業のイメージやサイトガイドラインにとらわれない自由な発想や独自の視点でウェブサイトを構築することができるという利点がある。
最後に三つ目の事実として、今まではテレビCMや雑誌媒体がエモーショナルな部分をつかさどり、ウェブサイトは「商品カタログ」としてロジカルな部分を担うのが通例であったが、BMWのWebシネマに代表されるように、表現技術の発展とブロードバンドの普及によりそれらの立場が近年変化しつつあるように思われる。企業サイトが「サイト訪問者に望んでいる情報をわかりやすく伝える」ことが前提であるのは勿論必要であるが、それだけでは顧客の満足は得られない時代になっているのである。
私は、これらの三つの事実から、「サイトにアクセスさせて何をさせたいか」ということが企業サイトの主目的となっていくだけにとどまらず、今後近いうちに企業サイト自体に大きなパラダイムシフトが訪れるのではないかと思う。新しい企業サイト、それは定められたガイドラインに従い整然とカタログ化された商品情報を提供することが主目的の企業サイトではなく、訪問者に情緒的な感動や意識の変容のきっかけを与えることを主目的にした企業サイトである。それは単なる顧客接点の一部としての企業サイトではなく、顧客接点の核となるような企業サイトである。
とは言えガイドラインに沿った企業サイト自体を否定しているわけではない。情報の正規化によるユーザビリティーの向上や運用効率の向上は企業サイトにおいては当然無視できない要素ではあるが、これからはそれらを踏まえた上で、何らかの機能やコンテンツにおいて情緒的・感覚的な部分も合わせ持つのが新しいステージの企業サイトのあり方であると考える。
ではその新しいステージの企業サイトを実現するには何が必要で、具体的にどのような効果が期待できるのか。企業活動をどのように変容させ、その結果訪問者、ひいては社会全体に何をもたらしていくのか。それはまた後編で語ることとしたい。



(Web広告研究会調査 企業ホームページ運営状況調査 2004 エグゼクティブサマリーより抜粋)
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