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コラム

2007年

携帯サイトにもユーザーエクスペリエンスを!


ネットイヤーグループ株式会社
第1グループ インフォメーション アーキテクト
吉岡太郎


携帯サイトを利用していますか?

唐突ですが、最近携帯サイトを利用していますか?おそらく多くの方は以前よりも利用するようになったと答えるでしょう。事実、2006年1月の総務省によるインターネット利用者状況のデータでは、PCのみでインターネットに接続するユーザーより、携帯のみでインターネットに接続するユーザー数の方が上回っているという結果になっています。
参考: 携帯電話でのインターネット利用がPCを初めて上回る--総務省調査 (CNETJapan)

利用者数の増加は以下のような要因が大きいと思われます。

1.
パケット定額サービス
2.
通信速度の高速化
3.
携帯用検索エンジンの出現
4.
無料で高機能なサービスを提供する勝手サイト(非公式サイト)の出現

以前は、パケット代は従量課金、通信速度はナローバンドで、検索エンジンもなく、ニュースサイトのような情報サイトは有料会員制のような状況でした。
誰もがPCサイトなら無料で携帯よりも情報が豊富なのに、何故わざわざ携帯サイトを利用しなければならないのだろう?と思ったことでしょう。
しかし、現状はそのような変化がおきたため、PCサイトユーザーよりも携帯サイトユーザー数の方が多い状況です。


携帯サイト自体は昔のまま

このように、携帯サイト周辺の状況が改善されてきて、利用者も増加傾向にあるのですが、肝心の携帯サイトは周りの環境とともに進化しているでしょうか?現状の携帯サイトの多くは、運用コストなどの制約のためか古い機種に合わせたサイト設計のみを行っている傾向が強いです。最近、携帯技術革新は益々加速しており、最新機種で可能になった様々な機能や表現が存在しますが、そのような古い機種に合わせたサイトですと、それらの新しい技術を使用できません。それでは新機種を所有しているユーザーに対して、十分な体験を提供できていないと言わざるを得ないでしょう。確かに運用コストも重要です。しかし、新しい体験をユーザーに提供するほうが重要な携帯サイトの場合、運用コスト重視のままの設計指針で良いでしょうか?そのような場合は、新技術を使用した携帯サイトを設計し、リッチな携帯サイト体験をユーザーに提供する必要があるはずだと考えています。


ターゲット機種から考える

新しい環境に即した携帯サイトを制作する場合、第一に検討すべきことは、そのサイトがターゲットとする携帯機種の範囲をビジネス要件から明らかにすることです。「ターゲット機種」を明らかにすることで、新旧の携帯機種で見せる画面を分離する判断が出来、新機種ユーザーに対して新たな表現のコンテンツを提供することが可能となります。例えば技術面からは、tableタグを利用した情報のグルーピングやフォーカス・スクロールを利用したリード文の見せ方、フォントサイズを調整することでの注釈文の見せ方など、様々な表現が可能になりますが、一番の効果は携帯版Flash「Flash Lite」を利用可能となることです 。


Flash Liteを利用する

Flash Liteを使用すると格段に表現力が上がります。それまではなかなか困難だったユーザーの感性に訴えかけるようなデザインも可能になりました。例えば、弊社で手がけたサイトの中でauのデザイン携帯「neon」のユーザー専用サイト「club neon」(*1)というサイトがあります。このサイトでは携帯のイメージや機能と深く連動する方向性で制作を行いましたが、Flash Liteの表現力なしには実現できなかったと思います。
ただし、Flash Liteがどんな場合でも万能かというと、残念ながら今のところはそうとは言い切れません。例えば、更新頻度の高いコンテンツは、どうしてもその手間や効率性などを考えると、Flash Liteを使用することを躊躇してしまうケースが多いです。今後、Flash Lite自体が進化してこうした課題をクリアーしていく可能性もありますが、現在でもコンテンツの目的に合えばそのメリットを十分検討して、その有効性は十分発揮できると言えるでしょう。
*1)club neon: neonのEZボタンを長押しすることでアクセス可能です。


LPOを考える

第二に、最近重要になってきた携帯サイトのユーザーシナリオの要素としてLPO(ランディングページ最適化)をあげたいと思います。前述しましたとおり、昨年の夏から秋にかけて各キャリアが公式メニューページに携帯用の検索エンジンを統合しました。これによって、PCサイトと正に同じように、検索エンジンからダイレクトにアクセスする導線を考える必要が出てきました。こうした考えは、一般的に携帯サイトの構築の前提にされているかというと、今のところはまだそうではないと言えるでしょう。実際に、携帯版Googleなどで様々なキーワードで検索しても、たどり着いたページからそのサイトの全体像が分からないケースがほとんどです。
また、携帯の戻るボタンによる導線に頼って、正しいリンクを設定していないようなサイトもあり、同じサイトのどのページにも遷移できないことも、少なくありません。
そのような事態における一つの解決策として、PCサイトでいうところの「グローバルナビゲーション」に相当するリンクをページ内に設置するという方法があります。弊社のサイト事例で言うと、au style(*2)がその好例といえるでしょう。こうした配慮だけでも、下位階層のページへダイレクトにアクセスしてもサイトを回遊できますし、サイトの全体像をユーザーに掲示することが可能となるのです。
*2)au style: 携帯機種にてhttp://www.au.kddi.com/からアクセスできます。(3キャリア対応サイトです。)


携帯での「エクスペリエンス」が益々重要に

現在進行形で、携帯サイトを利用する機会は加速度的に増えてきており、その存在感は益々高まってきています。そうした流れの中で、PCサイトの「簡易版」的な携帯サイトではなく、携帯の特性を活用した機能やコンテンツを体験できる携帯サイトが、多くの企業のビジネスに活用される日は、もうすでに始まっていると思います。そのようなサイトを制作するために、前述したポイントを理解し、PCサイトとは異なった携帯ユーザーの利用意識や体験させたいシナリオ(ユーザーエクスペリエンス)を設計することが、今後益々重要になってくると考えられます。


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