「マーケティングオートメーション徹底活用セミナー ~CXにおけるマーケティングオートメーション活用の重要性~」セミナーレポート
2019年9月30日に開催したセミナーのレポートをお届けします。

マーケティングオートメーション(MA)という言葉が浸透してきた今、その効果を期待してMAツールを導入する企業は増えています。ところが、狭い範囲でしか活用できなかったり、成果が出る前に活用を縮小したりという例が多く見られます。
MAツールを十分に活用するには何をすればよいのでしょうか? 活用によってどのような可能性が見出せるのでしょうか?
第一部では、長年デジタル戦略のコンサルティングに従事する佐々木裕彦が登壇。CX(顧客体験)を実現するためのMA活用の重要性について解説しました。
第二部では、デジタルビジネスデザイン事業部の田島弥生と内舘町子が登壇。これまでにネットイヤーグループがプロジェクトで蓄積したSalesforce Marketing Cloud の導入と運用のナレッジをベースに、MA導入後のPDCAの進め方をご紹介しました。
短期視点の売上アップより、中長期視点の顧客育成を
第一部で佐々木がまず参加者に問いかけたのが、新しいお客さまを獲得する目的です。商品を購入してもらうことはもちろん大切ですが、購入後の成功体験によって、その会社のファンになってもらうことのほうが、より大切。少子高齢化で市場が縮小する中、既存のお客さまの客単価と購入頻度を上げるために重視すべきなのがカスタマーサクセスです。
もともとはサブスクリプション契約をするSaaS企業など、BtoB企業で使われ始めたカスタマーサクセスという言葉や業務。ビジネスの成果を上げるために、製品の最適な使い方を提案し、お客さまを支援する一連の業務のことです。
ここで佐々木が見せたのが、BtoB企業の業務の流れ。かつての「リードづくり→商談づくり→提案・契約→カスタマーサポート」という流れがマーケティングやITの進化によって変化。「提案・契約」の次に「成功支援」という業務ができ、カスタマーサクセス部が生まれました。
カスタマーサクセスは、BtoC企業にも強く求められています。「認知づくり→関心づくり→販売→カスタマーサポート」という業務の流れは過去のもの。今は、「販売」の次に「顧客育成」があり、そのために多くのBtoC企業がCRM(Customer Relationship Management)を導入しています。ところが、「顧客育成」を担う組織があいまい、「顧客育成」より新規顧客の獲得や、既存顧客への販売を優先しがち等の課題も。
ここで提示したのが、カスタマーサクセスのための3ステップ。「オンボーディング→サポート→熟練サポート」という3ステップで、顧客を成功体験に導きます。MAを活用する際も、この3ステップが重要。MAでは、短期間ですぐに売上を上げようとするより、中長期視点でいかにリピートしてもらえるかといった視点が求められます。また、カスタマーサクセスの定義、何が成功体験となるかは、お客さま一人ひとりによって異なります。
「カスタマーサクセスのためには『マーケティングシナリオ、データ、マーケティングテクノロジー』という3つのケーパビリティが絶対必要。ネットイヤーグループなら、この3つを備えたMAチームがサポートする」と、佐々木は結びました。

正しい運営体制を築いて、PDCAサイクルのスピードアップを
第二部のテーマは「Salesforce Marketing Cloud を使ったPDCAの進め方」。田島がまず見せたのが、MA活用の誤解。
・簡単だと聞いたのに、実際は機能が多くて操作が覚えられない。
・シナリオに必要なデータは、IT部門やパートナーの協力がないとつくれない。
・メールのレイアウト崩れが気になり、HTMLの分かる人でないと触れられない。
・シナリオの見直しのポイントがわからない。
・効果が立証できず、専任担当者を置くことができない。
スキル(教育)、データ・環境、体制――これら3つに問題は集約。本来はこれらについてしっかり検討しておく必要があります。
MA活用のゴール(KGI)は、「顧客育成」と「売上の向上」。KPIは「顧客育成」と「個別施策」。MAの効果測定ができないと、顧客が新規か既存か、シナリオやメールが適切か、コストは見合っているか……といったことが見えなくなります。
顧客育成のKPIでは、顧客を「新規」「安定・一般」「ロイヤル」「休眠・離脱」の4つのステージに分けると、プランニングしやすくなるとのこと。また、個別施策のKPIでは、指標(反応、売上など)と切り口(時系列、比較、セグメントなど)の掛け合わせで、自社に適したものを見つけることが大切です。
MAによって円滑化されるPDCA(PLAN、DO、CHECK、ACTION)。内舘が、DO、CHECK、ACTIONの方法について、順に説明していきます。それぞれで、まず実践すべきは以下。
■DO:シナリオの効果測定
・まず、自社の顧客ステージ別の割合を把握しましょう。
・MAツールのレポート機能で反応指標を把握しましょう。
・反応指標を男女別、年代別にセグメントしてみましょう。
■CHECK:分析と改善ポイントの発見
・効果測定結果から課題を1つ見つけ、仮説と改善策を出しましょう。
■Action: 改善アクション
・効果を確認しながら1個ずつ改善に取り組みましょう。
さらに重要なのが、運営体制です。カスタマーサクセスのためには、長期で続けることが大切。ここでキーとなるのが、MA担当者とオペレーターです。やるべきことが多いのに、専任ではない場合が多く、シナリオを増やせばそれだけ負荷も増大します。
その解決に不可欠なのが、自動化による省力化。例えば、以下のようなことが可能になります。
・シナリオ実行はスケジュールにより自動化する。
・メールコンテンツはExcelにて作成しデータで入稿する。コンテンツブロックを使用し差し替えだけにする。
・月次レポートに必要な項目は自動計算するようにSMCクエリ、Excel計算式を用意する。
また、伴走してくれるパートナーも大切。ただし、任せっきりではコストもかかるし、自社にノウハウが蓄積されません。
「徐々に自社対応にシフトして、コスト削減を図ったり、自社内にパートナーが常駐して一緒に運営したりといった方法があります。御社にぴったりな運営方法が必ずあるはずです」と、内舘は締めくくりました。
このあとの質疑応答では、カスタマーサクセスの管理方法、MAとCRMのどちらを優先すべきか等の質問が参加者より寄せられました。
講師

ネットイヤーグループ株式会社
執行役員/デジタルビジネスデザイン事業部長
佐々木 裕彦
創業メンバーとして、同社のビジネスコンセプトを描き、成長をけん引し、2008年のIPOを実現。1993年から2000年までニューヨークに在住。1994年にマッキャン・エリクソンのインタラクティブメディア部門に参画して以来、インタラクティブマーケティングやデジタル戦略を専門にしてきた。
最近は、セブン&アイ・ホールディングスのオムニチャネルプロジェクトの戦略構想作りを支援。マーケティング、ブランディング、データ活用、CRM、Web、ソーシャル、新規事業開発まで広範囲な知見を持つ。
学習院大学卒業、ニューヨーク市立大学バルーク校経営学修士(MBA)。
ネットイヤーグループ株式会社
デジタルビジネスデザイン事業部
SMC運用マネージャー
田島 弥生
プログラマ、SEとして基幹系・業務系のシステム開発を経て、WEB制作、WEBサイト運用、WEBサービス企画の実績を積み2011年よりネットイヤーグループ株式会社に参画。
大手電機メーカー、信販会社WEBサイトアクセス解析、情報媒体、アパレル、キャラクタービジネス企業のMA導入・運用(Oracle Responsys、Salesforce Marketing Cloud)に従事。
Salesforce 認定 Marketing Cloud メールスペシャリスト
Responsys Certified Professional: Campaign
OracleマスターSilver
第二種情報処理技術者
ネットイヤーグループ株式会社
デジタルビジネスデザイン事業部
SMCプロジェクトマネージャー
内舘 町子
SEとして事業会社及び外資IT企業にて経歴を重ね2016年より現職。
服飾メーカー、百貨店、地方銀行、精密機器メーカー等にて Salesforce Marketing Cloud の導入と運用に従事、コンサルティング、PM、設計、実装、テストと幅広い実績を持つ。
Salesforce認定 Marketing Cloud コンサルタント
Salesforce認定 Marketing Cloudメールスペシャリスト
ネットイヤーグループセミナー事務局について
ネットイヤーグループは、創業からユーザーエクスペリエンスデザイン(UXD)という考え方をもとに、デジタル戦略の策定や実行の支援をしてきました。
弊社ならではの知見を活かし、みなさまのビジネスにお役立ちできるセミナーを毎月開催しています。
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本セミナーに関するお問い合わせ
ネットイヤーグループ株式会社 セミナー事務局
E-MAIL:mkg@netyear.net