デジマ in USA 第1回:T-MobileのLIVEチャットサポート(2)アクティベーション編
こんにちは。金澤です。
ベライゾンがYahoo!を買収するか、というニュースがこちらでも騒ぎになってます。当初、アルファベット(Googleの持ち株会社)やAT&T、あのTIME社も買収提案に参加してたのですが、みんな降りちゃってベライゾンで決まりじゃないか、と言われています。楽天の話はほとんど出てきませんが、実際のところどうなんでしょうね?
ともあれ、SIMが無事到着した後は、アクティベーションという難題が待っています。もちろん、SIMを自分ではめたことがある人は知ってると思いますが、念のため解説しますね。
1. アクティベーションって何?
到着したSIMをスマホに差し込んでも通信できません。そのためには「アクティベーション(有効化)」という手続きが必要です。要は、届いたSIMを持っている人が、申し込みをした本人であるかどうかを確認して、認証できれば端末を有効にするという作業です。電気でいうと通電させるような作業です。
基本的に、手元にあるはずの各種IDを、各キャリアの無料通信番号へ電話をかけて打ち込むか、WEBサイトから打ち込むかの2択です。もちろん、量販店でもやってくれますが、アメリカの場合、多くの人は自力でやります。デジタルな僕はもちろんサイトからやってみました。
2. ネットからアクティベーションする
届いたSIMカードには取説みたいなものがあって、アクティベーションの時にアクセスすべきサイトのURLが記載されています。
T-Mobileの場合はこれです。
参考:Prepaid Cell Phones | Easily Activate Your Prepaid Phone | T-Mobile
このように、取説に書いているActivation CodeとSIMのシリアル、そしてスマホのシリアルを照合させて認証をするわけです。スマホのシリアルは、箱を持っていなくても設定画面からIMEIという項目を探せば出て来ます。入力して次に進むと、こんな画面が出て来ます。
要は、個人情報入力なんですが、生年月日とメルアド、4桁のPIN(パスワード)、自分が居住している州と街をプルダウンから選びます。また、今、すでに使っている番号があれば、それをkeepすることができます。僕は空港で作った前の番号があり、学校にもそれで登録していたのでkeepを選択。しかし!僕の場合はこれが後に命取りになりました。。。
ちなみに、完全新規で番号を作る場合、市外局番を含めて自由に選べます。
居住地のエリアコードを入れると適当に設定されるのですが、空いてればどこでも大丈夫です。ちなみにマンハッタンのメインエリアは212で、これはお金出して買う人がいるほど人気です。その次に917、646あたりが人気とか。郊外に住んでてもこれを選ぶ人は結構多いみたいです(要は見栄)。
次に進むと、プラン選択画面が出て来ます。
大きく分けて2つのカテゴリがあります。
Pay By The Month Planは、その名の通り月額です。
Pay As You Go Planは使った分だけ払うプランです。
素敵なのは、月額の場合、使用データ容量がどのプランでも無制限なのです。ただ、4G/LTEのスピードで使えるのが毎月最初の何GBまでかの違いで、使い切ると3Gスピードになるのは同じです。As You Goの場合は、別にデータパスというのを買わなければいけません。短期滞在で電話だけ必要、という人はこれが一番安いです。何せ、使わなければ月$3です。
で、実は目玉商品がございまして、一番上の100分通話無料、Text(SMSの事)、データ無制限(5GBまで4G/LTE)がなんと$30なのです。
初めて、T-Mobileを契約する人で、かつサイトで購入する人のみこのサービスが適用されます。路面店ではWalmartだけでしか契約できないという隠れサービスです。通話100分超えてしまうと超過料金は発生せずに通話ストップします。必要な分のRefill(継ぎ足し)と言われるクーポンを買って登録すれば復活します。このRefillクーポンは、オンラインでも量販店でも買えます。
僕は日本の家族とはLINE電話でやりとりしているし、こちらでの通信はほとんどWhatsAppかWeChat(中国人と話すとき)、もしくはFacebook MessengerかSkype(連動させてるので一緒)で話すので、データさえあれば良い。最高のプランです。迷わずこれを契約。
あとは、カード番号かRefillクーポン(持ってる場合)を入力して終了です。
で、24時間以内に開通します。
しかし、待てど暮らせど、繋がらない。。。
3. チャットで問題解決できるか?
しょうがないので、コールセンターへ電話するか、と思ったのですが、まだまだ英語に自信がないチキン野郎ですので、できれば電話は避けたい。でも、この契約内容は店舗の人は預かり知らぬ存在なので、店舗に行っても何も解決できない。どうしよう。そうだ!チャットがあるじゃないか!
ということでT-Mobileのサポート用チャットでなんとかしてみることに。
T-Mobileのサイトには、サイトの右端にチャットタブが表示されていて、困った時はここをクリックしてLIVEチャットでいろいろ問い合わせることができます。
僕が問い合わせた時は、何もしなくてもチャット・ウインドウが自動起動しましたが、今はクリックしないと出ないみたいです。一説によると、新規顧客(またMy T-MobileのIDやcookieを持っていない)場合は適宜ポップアップするみたいですが、本当かどうかちょっとわかりません。ともあれ、チャット開始。
「はろぅ」とコールするとJeriah Rというオペレータが入ってきました。
女子っぽい名前でウキウキしてたのですが、後で調べたらヘブライ語の男子の名前。
僕:「違うキャリアから番号持ち越しって可能なの?」
じ:「はい。間違いなく(・∀・)。今他キャリアで番号持ってたら、弊社に持ち越せますよ。」
僕:「プリペイドでも?」
じ:「はい。プリペイドでも。」
こんな感じでいろいろ話していきます。
実はこの画面の会話の前に、学校に行く前に他のオペレータと会話していました。「つながんないよー」と文句を言ったら「もしかしたら元のキャリアに問題があるのかも」と言われ、帰宅後再アクセスして、この画面に至ってます。
結局、繋がらない理由は、空港で買ったSIMのキャリアが番号を解放する手続きをしておらず、T-Mobile側で待ちになっていたとのこと。
じ:「ほんとすいません。すぐに繋げるべきなら、直接接続担当のコールセンターにつなぎます」
僕:「え、そ、そう?そ、そうしよっかな。。。」
正直、英語力の関係上、電話は避けたかったのですが、背に腹は変えられないので了承。チャットからT-Mobile回線専用の短縮ダイヤルを教えてもらい、コールすることに。その後、英語力の低さでかなり苦労しましたが、即日開通しました。
4. LIVEチャットサポートのポジティブな衝撃
体験してみて思ったのですが、LIVEチャットサポートにはネガティブな感覚は一切ありませんでした。むしろポジティブのみ。僕は今、非常にT-Mobileに対する好感度は高いです。その主な理由を挙げましょう。
- 程よい距離感で質問できる
顔を合わせないからか、PCというインターフェースがそう思わせるのか、チャットによるやり取りは非常にストレスフリーです。レスポンスは完全にリアルタイム。非常にスムーズに会話が進みます。返答のタイムラグは長くて10秒程度でしょうか。電話と違って身構えずにやり取りができるのはありがたい。 - 目視確認できて、聞き間違いもない
何より、手順やURLを教えてもらう時、テキストでもらえるので電話で起こりがちな聞き間違いもなく、しかも英語不慣れなこっちにとっては筆談の方が遥かにありがたい。メモ取らなくてもいいし、URLならクリックすればいい。日本でも外国人サポートを必要とする時、チャットは相当力を発揮するんじゃないでしょうか? 筆談ホステスがモテた理由が今わかりました。 - たらい回し回避の素晴らしさ
コールセンターの場合、よくある自動音声で「◯◯ノ場合ハ1ヲ…」みたいな長ったらしい前捌きがありますね。あれで10分はロスします。急いでなくても腹たちます。しかし、チャットは即応答、即進行。素晴らしい。アメリカでそれなりに有名なGethuman.comというサービスがありまして、これはコールセンターへの問い合わせを代行してくれるという代物。問い合わせる側の労力の大半である、機械そのもの(自動音声)との戦いを代行するのです。彼らのレポートによるとT-Mobileのコールセンターの平均待ち時間は24分となっています。 - エンゲージメントを強く感じる
即反応。親切な応対。たらい回し回避。これに加え、声のトーンが無い分、腹が立つ要素が少ない。(型にはまった慇懃無礼な会話に腹たつのは僕だけでしょうか?)僕の場合結局、チャットだけでは解決せずコールセンターに繋ぐことになりましたが、チャットで前捌きをやってくれたので、電話対応も非常にスムーズ。経緯が伝わっていて、適切な担当に繋がって、すぐ処理モードに入る。会話も丁寧ながらフランクで、非常に親近感を感じる。
コールセンターに案件引き渡される時も、“I hope your problem will be solved soon.:) Have a good day!”
と言う具合で気持ちのいい返答。こっちも、
“Thank you for your help. :)”
と返して、非常に気持ちよく終われる。
このやりとりで僕はT-Mobileと言うブランドにエンゲージしました。
この待ち時間とは、繋がらない、だけではなく、問題解決担当の「人間」に到達するまでの時間らしく、要は機械や人にたらい回されている時間も含みます。
今回、LIVEチャットによって、僕はチャット5分、そこからダイレクトナンバーをもらって5分の合計10分で済みました。ラスト5分は僕の語学力のせいでそれはもうきつかったですが(笑)。
参考:T-Mobile Phone Number | Call Now & Skip the Wait
5. チャットサポートはデフォルトになっていくのでは?
今回の体験から、チャットによるサポートはかなり一般的になっていくと確信しております。団塊世代はまだチャットはきついかもしれませんが、僕らやその子供達は問題ないでしょう。米国でもLIVEチャットサポートに挑戦している企業はまだ多くはありませんが、確実に増えていくと思われます。
T-Mobileにチャット・エンジンとオペレーションを提供したTouch Commerceと言うカリフォルニアの会社にちょっと取材してみました。同社のチャットで(笑)
僕:「チャット・サポートのビジネスの調子はどうですか?」
タ:「おかげさまでかなり調子が良いです。」
僕:「どんなところから引き合いが多いですか?」
タ:「オムニ・チャネルと言えるでしょう。eコマースだけじゃなくて両方やってるところからの引き合いが非常に多いです。名前は出せないけど、アメリカ人なら誰でも知ってる高級百貨店と今トライアル・プロジェクトやってますし。」
僕:「ほう。想像つきますね。NかMで始まるでしょw」
タ:「ええ、多分w。返品や予約、ピックアップにまつわる電話やメールでの問い合わせが非常に多くて、対応が遅れている。コストをかけている割には顧客満足度低下に繋がっているのです。」
僕:「というと?」
タ:「メールだとどうしてもリアルタイム性を欠いてしまうし、会話一つですぐ対応できる内容でも処理が埋もれてしまったりします。一方電話だと繋がりづらく、コストもがかかる。また、アメリカ人は話し好きなので、あまりに機械的な対応だと満足度が非常に下がりますし。リアルタイム性と会話性を担保するのにチャットは最適だと思いますよ。運用コストもコールセンターに比べて最低25%は下がります。」
参考:Digital customer engagement platform | Nuance
僕の場合は携帯電話でしたが、オムニチャネル、特にインバウンド需要を考えているみなさんは、LIVEチャットの活用を考えてみてはいかがでしょうか?
チャットなら日本人の英語力でもなんとかなりますし、何よりTouch Commerceのような会社に外注できるかもしれません。対応のログも残るので、引き継ぎや分析には非常に有用でしょう。何より、チャットで話せたお客さんは非常にいい気分になれます。少なくとも、機械にぞんざいに扱われている気分は皆無です。チャットも機械を経由してるんですけどね(笑)

ストラテジック・フェロー 金澤 一央(記事一覧)
・I-COM Data Creativity Awards 審査員
・ニューヨーク大学大学院、School of Professional Study, M.S. Integrated Marketing在籍中
・主な講演・セミナー・寄稿等:日本経済新聞社、JADMA、インプレス、ビジネスブレークスルー大学など
ネットイヤーグループ、オンラインメディア測定に関する国際団体「I-COM」が主催する国際コンペティションの審査員に弊社金澤、コストフが就任(2015年4月17日)