なぜ、B2Bにマーケティングが必要なのか?~データから理解できる日本社会の現状~
こんにちは、シニアディレクター兼B2Bマーケティングプランナーの神田です。
みなさん。
突然ですが、政府が発行している「白書」ってご存知でしょうか? 2018年の現在、実に様々な白書が政府(というか、各省庁)から発行されています。有名なところでは経済財政白書や、警察白書、防衛白書などがあります。ちなみに、日本において初めて作成された白書は「経済実相報告書(経済白書)」でして、それは1947年のことです。有名な“もはや「戦後」ではない。”というフレーズは昭和31年(1956年)の年次経済報告(いまでいうところの経済白書)に掲載された言葉です。
少し前まで、白書といったら分厚く、重く、必要になったら図書館の片隅で一生懸命に読むようなものでした。その状況が、電子書籍の登場&普及によって、一気に変わりました。タブレットや、スマートフォンに、まるっと1冊、分厚い白書を収めることが可能になったのです。ちなみに、ワタシのKindleには「平成30年版情報通信白書」「2018年版中小企業白書」「平成29年版少子化社会対策白書」「平成29年版警察白書」が収まっています。
これだけ読むと、ワタシがものすごい白書好き、役所ヲタクのように思われてしまうのですが、そうじゃないのですよね。実はニワカです。Web上で「白書が無料で読めて面白いからっよめ!」(意訳)という記事を見つけたので、読んでみただけなのです。そして、ハマっただけなのです。
仕事のヒントとしてなにかいいものが無いのかしら? というアンテナに引っかかったブログの記事と白書(平成30年版情報通信白書)だったのですが、これが予想以上に大ヒットだったのです。
減り続ける日本の人口と増え続けるICT分野
「17年の出生数2年連続100万人割れ 自然減40万人超え」。これは2017年12月22日の日本経済新聞の見出しです。ここ数年、いや、ここ数十年「出生数≒新生児数の減少」というニュースが流れなかった年はないことでしょう。その影響により、減ってしまった生産人口、つまり労働者を確保するために、「移民政策の是非」についてのニュースも流れてきたりしてますよね。いやはや、大変な時代です。
[我が国の人口及び人口構成の推移]
出典:平成30年版情報通信白書
このような社会的な状況についても、「平成30年版情報通信白書」ではしっかり触れられています。それも、巻頭で。そりゃ、そうですよね。日本の人口というのは、日本における母数。いわば、n数。重要ですよね。
減り続ける日本のn数。そういう状況にありながら、「ICT分野は日本で増え続けているのです」と白書では。
ICT。Information and Communication Technology。つまり情報通信技術。メルカリに代表されるような新しいWebサービスや、ネット配信動画が増え続けているのですから、そりゃ、日本におけるICT分野は増え続けることでしょう。
[情報通信産業の名目GDP及び実質GDPの推移]
出典:平成30年版情報通信白書
でもですね、日本市場の分母である、日本の人口は減っているのです。なのに、分子である日本におけるICT分野の規模は増え続けているのです。全体のパイは減っているのに、その中にある一部分だけは増えている。クルマはダウンサイジングしたのに、ワタシが太ってしまったので「車内が狭いですね」と似ていることが起きているのです(あまり似ていないですね)。
いやいやいや。こんなワタシのわかりにくい例よりも、現実を。2018年8月23日の日経新聞には、このような記事が掲載されていました。”吉野家・ガストどちらも割引き 「定期券」異例のタッグ”。本文中には” グループが違う飲食店が異例の値下げ連携に乗り出した背景には、外食産業の競争激化がある。人口減少で国内の出店余地は狭まっている。総菜や弁当など「中食」市場が伸び、外食各社は新たな需要を喚起する施策が必要になっている。”という記述があります。あながち、ワタシのわかりにくい例も、外れていないようですね(そんなことない?)。
減り続ける市場で発生する過酷なパイの奪い合い。最終消費者である我々が食べる牛丼や、ウドン。そこだけを切り取ると、世界はThe B2Cなワケですが、わたしたちの口にウドンや、牛丼が入る手前を観察すると、そこに広がっているのは、紛れもないB2Bの世界なのです。
減る市場、増えるデータ。これから世界で生き残るには(デジタル)マーケティングが、何よりも重要。
縮小を続ける市場にあって、企業がその売上を伸ばすために取るべき方法はなにか? 拡大し続ける市場にチェンジする&挑戦するという荒業もありますが、すべての企業で行うことは、なかなか大変なことだったりします。とくに、外食や、小売、不動産、建築、土木のように、その土地に根付いたビジネスを行っている会社にとっては、簡単なことではありません。
では、どうすればよいのか?
その解決手段が(デジタル)マーケティングなのです。
あえて、デジタルに(カッコ)を付けました。だって、デジタルを省いたマーケティングなんて、この21世紀に行うことが、ほぼ不可能ですからね。
減り続ける日本の人口と日本の市場にあって、ICT分野と同じように増え続けているものがあります。それは、データ流通量。様々なデジタルサービス&ツールが一般的となったいま、データの流通量がとんでもないことになっています。
[我が国のインターネット上を流通するトラヒックの推移]
出典:平成30年版情報通信白書
2017年11月時点では平均で約10.8Tbpsのトラヒックがインターネット上を流通していると推定されるのです。同トラヒックは前年同月比31.6%増となるなど、近年のインターネット上のトラヒックは引き続き増加しているのです。
なんだか桁が大きすぎて、想像ができない状況なのですが、とりあえず、このグラフの曲線を見るだけでも「すごい」ということだけはよくわかります。
大量にやり取りされるデータ。このデータをマーケティングに活用すれば、いままでなかなか知ることのできなかった、顧客企業の動向も見えてくるのです。
かの、ピーター・ドラッカーは言いました。「マーケティングとはセリング(単純なる販売活動)をなくすことである」と。どんなにデータを活用したマーケティングを頑張ったとしても、短いスパンでセリングがなくなることはないでしょう。しかし、セリングに関わる期間や人的リソースを削減することは可能となります。
縮小する市場で、少ない人的リソースをフル活用し、売上の最大化を図り続けていくには、データを活用した(デジタル)マーケティングが、何より重要となっていくのです。
参考
平成30年版情報通信白書
平成29年版情報通信白書
白書(wikipedia)
昭和31年年次経済報告
平成30年版情報通信白書による、日本はどうして他国より労働効率が悪いのかの図
17年の出生数2年連続100万人割れ 自然減40万人超え
IT新戦略の策定に向けた基本データ集 <デジタル化の現状と課題>
吉野家・ガストどちらも割引き 「定期券」異例のタッグ
日本フードサービス協会会員社による外食産業市場動向調査平成29年(2017年)年間結果報告
平成 28 年外食産業市場規模推計について

趣味は子育て。特技は子供のための料理。子供と過ごす時間を最大化するには生産性向上しか無い。生産性を向上させるためには、自信&自社だけではなく、お客様のB2Bマーケティング力を向上させるしか解決策はない! と、妙な使命感に燃える40代。人に優しく・地球に優しく・そして自分に一番優しくをモットーに、日夜業務に勤しんでおります。