事例 ヤマハ発動機株式会社

リサーチとワークショップからマリンライフを楽しむユーザー体験を設計し、これからのマリン事業部ウェブサイトのあるべき姿を導出

エントリー層参入による市場拡大を踏まえ、これからのヤマハ発動機マリン事業部サイトはどのようにあるべきか? UX Acceleratorという弊社のUXデザインサービスのアプローチをベースに、リサーチ(現状把握)→プランニング(ユーザー体験設計)→プロトタイピング(概要設計)をワンストップで実施。参加型のデザインプロセスにより、それぞれの段階でマリン事業の様々な関係者・販売店のみなさまにご参加・ご協力いただきながら、現状のビジネス上の障壁を越えてあるべき姿を導き出しました。

クライアントが抱えていた課題

事業シェア1位を維持しつつ、更に市場規模拡大を見込む中、ユーザーの高年齢化が進んでおり、エントリー層参入の促進が喫緊の課題でした。また、様々なニーズに応えるために多様かつ膨大なコンテンツを抱えており、マリンライフ全体のユーザー体験視点で見た際に、ユーザーのニーズに即したウェブサイトの整理を行う必要性がありました。

それらの課題を踏まえ、「ボートで遊びたい」「船を買いたい」「免許を取得したい」といったユーザーのニーズを喚起しながら様々なビジネスゴールに到達させるための一連のユーザー体験を描き、その上でウェブサイトがどのようにあるべきか? を見出したい、とのオーダーをいただきました。

ネットイヤーグループの提案

課題とオーダーを踏まえ、弊社のUXデザインサービスであるUX Accelerator のアプローチをベースにしたデザインプロセスをご提案しました。

現状把握、ユーザー体験設計、概要設計の3ステップを約2ヶ月間で実施し、ユーザー視点でサイトのあるべき姿を描き出すというデザインプロセスです。

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この3ステップにてUX視点での概要設計を行います。そこで見出された設計の大方針がこのプロジェクトにおける成果です。ここで得られた考え方を、その後の詳細設計/制作・開発/公開・運用といった今後の展開に活かしていただくという流れになります。

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STEP.1 現状把握 / RESEARCH

ファーストステップである現状把握では、ユーザーの実態やサイト上の課題を把握するタスクを実施しました。

ユーザーの調査では、多様なユーザーを理解されている販売店担当者様にインタビューを行いました。ユーザーを大きくボート免許取得/ボートレンタルサービス利用/ボート購入という3つに区分けし、どのようなユーザーがいるのか? どのような行動をしているのか? どのように販売店とやりとりしているのか? など、様々なユーザーの実態を把握しました。また、東日本と西日本の傾向を掴むために東日本側の販売店、西日本側の販売店それぞれ複数の担当者にインタビューをしています。
インタビューを基に、免許ユーザー/レンタルユーザー/購入ユーザー3つのペルソナを策定。ユーザー像を明確にするだけでなく、何を目的(ゴール)に彼らとどのような接点を持つべきか? を整理することができました。

また、簡易的なヒューリスティック評価も実施。それぞれのユーザーに想定されるサイト上の行動フローをベースに、主な課題点を分かりやすくピックアップしました。

STEP.2 ユーザー体験設計 / USER EXPERIENCE DESIGN

ユーザー体験設計のステップでは、現状把握にて整理されたペルソナや課題点を踏まえながら、ユーザーがどのような体験をしており、そこでは何が重要なのか? を整理する作業を2日間のワークショップ形式で行いました。このワークショップでは、主に以下を実施しました。

1日目

  • カスタマージャーニーマップを作成
  • カスタマージャーニーマップから、UX視点で重要と思われる要件を抽出

2日目

  • あるべきサイト像を見出すためのアイデア出し
  • 設計方針要素の検討(コンセプト、設計のポイント、サイト概念図)

マリン事業に関わる様々な立場のみなさまと共に濃密なグループワークを実施できたことで、ビジネス視点で常日頃考えていらっしゃる多くの事柄と、ユーザー体験が混ざりあった本質的な議論が行うことができ、あるべき姿を導き出しながら効率的な合意形成を行うことができました。

STEP.3 概要設計 / OVERVIEW DESIGN

概要設計では、ユーザー体験設計のワークショップで生じた成果をアウトプットとして精緻化すること、ならびに、設計の考えを踏まえたハイレベルサイトストラクチャ(上位階層のサイトマップ)、プロトタイプとしての主要画面ワイヤーフレームを設計しました。

概要設計で得られたアウトプットは以下の通りです。

ワークショップの材料を基に精緻化した主なアウトプット

  • カスタマージャーニーマップ
  • 新サイト設計方針
  • 設計コンセプト/設計のポイント/サイト概念図

概要設計として具体的な設計を行った主なアウトプット

  • 施策アイデア概要
  • ハイレベルサイトストラクチャ
  • 主要画面ワイヤーフレーム(PC/SP)

カスタマージャーニーマップと新サイト設計方針は、ワークショップ時の成果である模造紙上のポストイットやスケッチを基に、ワークショップ参加者以外の方にも共有しやすいよう、再整理を行いました。また、設計方針は考えをさらに昇華して、あるべきサイトの姿・理念を関係者の誰もが深く理解できる言葉に置き換え、意味づけを行いました。さらに、これらの考えが形骸化しないよう、関係者のみなさまがコンセプトを自然に遵守しやすくするための合言葉をツールとして定義しています。

施策アイデアは対象となるユーザー/期待する効果/簡易的なワイヤーフレームと説明を加えることで具体的にイメージが共有できるようにしました。
ハイレベルサイトストラクチャは単にサイトの上位階層の分類を示すだけでなく、各コンテンツがどのようにユーザーを導いていくのかを明らかにし、各カテゴリ内にどのようなコンテンツがどのような流れで存在すべきかを示しています。
最後に、主要画面ワイヤーフレームでは、ここまでの設計の考えを反映して、あるべき画面イメージを提示しました。

これらの成果物をもってヤマハ発動機マリン事業関係者のみなさまに向けた最終報告会を実施。これからのヤマハ発動機マリン事業部サイトのあるべき姿とその考え方の全体的な共有を行うことで、2016年春以降の次フェーズ(サイトリニューアルに向けた具体的な取り組み)へとスムーズにつなげることができました。

ご担当者様からのコメント

まず、マリンサイトの設計コンセプトを導き出してくれたことに感謝します。
ボートを中心としたマリンレジャーは魅力的で非日常を味わえるおすすめの世界。でも良くわからないし怖いイメージもある「ひとごと」の典型。もし興味は持ったとしてもなかなか飛び込みにくい。このハードルをさげる事は当社の恒常的な課題なのです。一人でも多くの人を海へ誘うために何ができるのか?ワークショップでは攻め所を共有できたことが一番の収穫でした。15年ぶりに作り直したカスタマージャーニーは変化し当社の活動のベースとして活きてくるでしょう。
トライバルメディアハウス池田氏がお勧めしてくれた今回のチームには満足しています。決めつけ、押しつけではない愛情を持った宮村氏のファシリテーションが我々のDNAを少しづつ書き換えていくようにプロジェクトは進行。成果は少し先ですが狙い通りに進捗していると実感しています。

ヤマハ発動機株式会社 コーポレートコミュニケーション部
WEBグループ グループリーダー 橋本 耕 様

プロジェクト情報

クライアント

ヤマハ発動機株式会社

業種 : 製造業
マリン事業部サイトコンセプト導出

プロジェクトメンバー

PR : 加藤弘和
AM : 原山拓也
UXD : 宮村和実
AUXD : 原田紘子
SV : 池田紀行(トライバルメディアハウス)

略称について

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