事例 株式会社アスクジャパン

医療現場のDXを加速!
動物病院向け電子カルテ「iVet」に生成AIを導入し業務効率化を実現
国内の動物医療や動物飼育・研究分野をデジタル技術で支えている、株式会社アスクジャパン(以下、アスクジャパン)。現在、動物医療現場で共通の課題となっているのが、人手不足に伴う業務負担の増加や労働環境の悪化です。
今回のプロジェクトは、すでに数多くの動物医療機関に導入されているアスクジャパンの動物病院向け電子カルテシステム『iVet』に、生成AIを活用したドキュメント作成機能を追加することで、報告書や紹介状の作成を効率化し、医師やスタッフの業務負担を軽減することを目指しました。
ネットイヤーグループは、AWSの生成AIサービスとヘッドレスCMSを組み合わせたソリューションを提案しました。これにより電子カルテの情報漏洩や、外部侵入のリスクを軽減し、強固なセキュリティシステムを構築。さらに、クライアントが生成AIのアウトプットを調整できる仕組みを導入することで、人手不足に伴う現場スタッフの業務負担を軽減するとともに、質の高いドキュメントを効率的に生成できるようになりました。
動物医療の現場課題と『iVet』目指す姿
動物医療の高度化が進む中で、獣医師をはじめとした医療現場スタッフの業務負担はますます増えています。そこで、動物医療業界をデジタル技術で支えてきたアスクジャパンは、同社が提供している動物病院向け電子カルテシステム『iVet』に、現場スタッフの課題を軽減する機能を追加することで、業界の課題解決に貢献できないかと考えました。
そこで目指したのが、既存の『iVet』に生成AIを導入し、現場スタッフの負担となっている診察に関する報告書や紹介状などを自動生成する機能を追加することでした。
ネットイヤーグループの提案
ネットイヤーグループは、アスクジャパンが提供する動物病院向け電子カルテ『iVet』に生成AIを活用した新機能の追加を支援しました。
AWSの生成AIサービス「Amazon Bedrock」を活用し、『iVet』に蓄積されてきたカルテ情報を基に、報告書と紹介状のドキュメントを生成することで、獣医師をはじめ現場スタッフの業務効率化と生産性向上に貢献しました。
また、AWSの各種サービスを組み合わせることで、強固なセキュリティを保ちながら拡張性の高いシステム構築を実現しました。
ポイント1:AWSの活用によりセキュリティリスクを軽減
今回のプロジェクトでは、AWSを活用することでセキュリティとデータ管理の信頼性を確保しました。また、サーバーレスアーキテクチャを採用し、API経由で生成AIサービス「Amazon Bedrock」を利用できる構成とすることで、インフラ管理の負担を軽減。さらに、サーバーレスにすることで、電子カルテ情報の漏洩や生成AI学習データの外部利用リスクを抑えています。
AWSは、AI技術全般の倫理的・安全な活用を推進する「責任あるAI」に早くから取り組んでおり、その方針に基づいた生成AIサービスとしてAmazon Bedrockを提供しています。本プロジェクトではこれを採用し、学習データを保存しない設計や、生成AI処理を特定のコンテナ環境内で実行する仕組みを活用し、医療情報を安全に取り扱う環境を構築しました。
ポイント2:AWS×ヘッドレスCMSの導入で高いメンテナンス性と拡張性を実現
従来の『iVet』は基本的にスタンドアローンシステムであり、特定の業務や環境で効果的に機能していました。クローズドな環境によりセキュリティリスクは低く保たれていましたが、外部リソースと接続できず、現場の多様なニーズに応じた柔軟なカスタマイズが難しいという課題もありました。また、生成AI導入に伴う懸念点として、獣医師ごとに異なるニーズにどう対応していくかという課題がありました。
そこでネットイヤーグループは、ヘッドレスCMSをAWSと組み合わせることを提案しました。これにより、ネットイヤーグループが直接関与しなくても、生成AIのプロンプトルールを効率的に管理できる仕組みを構築しました。アスクジャパンの担当者がエンドクライアントのニーズをプロンプトルールに反映し、獣医師ごとの細かな要望に合わせて出力を調整できるようになりました。
『iVet』が動物医療の先駆的システムになることを目指して
今回のプロジェクトを通じて『iVet』に蓄積された膨大な診療データを、獣医師の診療支援や適切な投薬提案に活用するという新たなビジョンが見えてきました。将来的にアスクジャパンが「動物医療業界における生成AI診療サポートの先駆者」となるための支援ができればと考えています。
生成AIはあくまで手段であり目的ではありません。重要なのは生成AIをどのようにビジネスに活用するかです。ネットイヤーグループでは現在、生成AIをマーケティング分野に活用し、より効率的にクライアントの目標達成に貢献できるシステム開発に取り組んでいます。今後もユーザーの課題解決に真摯に向き合いながら、生成AIのビジネス活用を全力で推進していきます。
お客様の声
オンラインで初めて顔合わせをした際、様々な課題や要件を相談したところ「できますよ」という心強い回答と一緒に、生成AI導入に伴うメリットとリスクについて丁寧に解説していただきました。また何度も打ち合わせを重ねながら不安や課題を洗い出し、ネットイヤーグループさんが適切な提案をしてくれたことで、徐々に安心して導入を進めることができたのです。
生成AI導入の検討時に最も危惧したのが、電子カルテの個人情報が外部に漏れないことでした。その対策として、ネットイヤーグループさんはAWS Bedrock活用によるセキュリティ強化を提案してくれました。またアクセス制限を設けて特定のIPアドレスからのみ接続可能とすることで、外部からの不正アクセスを防ぐ対策も講じてくださいました。また生成AIの導入によって、電子カルテの役割が「インプットしてデータを蓄積するだけ」から「アウトプットして有効活用する」方向に役割が広がりました。例えば様々な生成AI技術を組み合わせることで、将来的には獣医師さんたちの診断サポートに繋げることもできると考えております。その結果飼い主様の待ち時間の短縮や、不安の解消にも役立つ仕組みが作れたら幸いです。
株式会社アスクジャパン 落合様
プロジェクト情報
- クライアント
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- プロジェクトメンバー
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アカウントマネージャー:大西健太郎
プロデューサー:渡邉隆二
プロジェクトマネージャー兼ディレクター:本田翔
エンジニア:山中雅之