事例 コニカミノルタ株式会社

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介護現場のサービスデザイン。サービス構想とデザインシンカー育成の支援。

ネットイヤーグループは、コニカミノルタ株式会社(以下、コニカミノルタ)の新規事業である介護事業を推進する多様なメンバーに向け、高速スプリントで思考し続ける「サービスデザイン・ワークショップ」を核にしたプロジェクトを実施。
重くのしかかる介護の問題を見据え、参加者一人ひとりの独創とチーム一丸の共創によって、新たなビジョンを生み出し、イノベーション(革新)施策とインプルーブメント(改善)施策の2領域で、注力すべき課題を見つけ、解決につながる製品・サービスの構想を支援。さらに、ワークショップを通じて、参加メンバーの思考・発想・行動に変化を生じさせ、デザインシンカーの育成も支援しました。

クライアントが抱えていた課題

世界一の超高齢社会となり、要介護者の増加で、日本の介護現場は問題が山積み。介護業務全体の効率化を実現する新規事業「ケアサポートソリューション®」で、日々、介護現場と介護サービスの改革に挑み続けているコニカミノルタは、介護保険財政の負担増、要介護者のQOL(Quality Of Life)向上、介護従事者や家族の精神的・肉体的な負荷の増大、介護人材不足など、多岐に渡る問題を見据え、3つの課題に注力したいと考えていました。

  • 事業メンバーが、情熱を燃やし取り組みたいと思えそうな、介護問題の極めて重要な課題は何か?
  • メーカーにおいて、介護サービスを提供する組織へと変革するために、どんな価値や業務を生み出すべきか?
  • デザイン集団へと進化するには、どんな経験や仕組みが必要か?

ネットイヤーグループの提案

「サービスを描く」「デザインを学ぶ」の2つを柱に、サービスデザインによる全方位的な構想はもちろん、マインドセットやメソッドまでを学ぶ「サービスデザイン・ワークショップ」を提案。デザインディレクター・ファシリテーターの役割を担当し、構想と学びを同時に実現しました。 精密機器メーカーとして、モノ作りが得意なコニカミノルタは、「ソリューション・プロダクト&サービスフィット」が強み。今回は新たなインパクトとチームの一体感を見据え「ファウンダー・プロブレムフィット」「カスタマー・イシューフィット」「ソリューション・イシューフィット」の3つに注力。

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デザイン部門やデザイナーに依頼し、業務が分離されがちな従来のやり方ではなく、デザイナーとノンデザイナー(エンジニアリング、マーケティング、営業、カスタマーサポート部門)が一緒にデザインする場と経験を提供。誰もが潜在的に持っている想像・発想・批判する力を引き出し、一人ひとりがサービスをデザインする視点を持ち続けることを重要視しました。

よくあるメソッドやプロセスに縛られないフレキシブルなプロジェクトデザイン

根が深い介護問題は、一般的なデザインプロセスやタスクだけでは本当に効果的なアプローチなのか判断しづらく、参加メンバーの多くはデザインワークに慣れていないエンジニアのため、新たなビジョンおよびイノベーションとインプルーブメントの両施策を短期間に構想することは容易ではありません。
今回は、プロジェクト計画フェーズから主要メンバーと、効果的なデザインワークを追求した綿密なプロジェクト計画を策定。プロジェクト全体において、ワークを活性化するチームビルディングをベースに、デザイン・タスクを日々変化させ、カオスに立ち続け、高速で実験と発見を繰り返し、互いに生み出したアウトプットを気軽に批判し破壊させることで、質を高めつつ、楽しく発想し創造できる場の形成を目指しました。

プロジェクトで陥りがちな問題

  • フレームワークやツールで穴埋め作業する、やっている感だけで質が伴わないワーク。
  • 自然に気楽に、アウトプットや、やり方を壊すことが出来ない硬直化した手順・プロセス。
  • 最後まで情熱が生まれず、メンバーにとって自分ゴト化しない、外部コンサルが考えたアウトプット資料の山。
  • ユーザー中心主義の偏重による、レッドオーシャンに向かうだけの改善・改良アプローチ。
  • 批判する仕組みがなく、楽しく上手くいっている感だけで、視座が上がらないままの共創。

このような問題を払拭すべく、ワークの隅々までデザインし、ファシリテーションしました。

ビジョンドリブンとイシュードリブンの両輪アプローチ

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世の中にどんなギフトを贈るのかを追求する理想創造型の「ビジョンドリブン」と、介護現場に出向き顧客への共感から始める問題解決型の「イシュードリブン」の、2つのワークを平行して走らせ、最終的に統合し、新たな製品・サービスを生み出すアプローチで進行しました。ビジョンドリブン、イシュードリブンの両ワークは、3~5分程度の高速ワークの繰り返し。効果と効率性を踏まえ、「一人で思考し煮詰めるワーク」→「方向性が似ている者同士のペアワーク」→「チームや全体のワーク」の流れで取り組み、時間配分は、「セオリー1割、ワーク9割」で、濃厚かつ実践的にサービスデザインを実施。

<ワークショップの主なタスク>

  • 業界・組織・周りをリードし、止まらず思考・発想・行動し続けられるよう、デザインのマインドセット醸成や、緊張と安堵を繰り返すアイスブレイクやワークを準備。
  • ビジョンドリブンワークは、一人ひとりや組織の存在意義やムーンショット(野心的で壮大な挑戦)の策定、バイアスの探求・発見・破壊をし、互いに建設的に批判を繰り返すスパーリング。
  • イシュードリブンは、一人ひとりが介護現場で観察・交流した結果やデータの分析結果を持ち寄りジャーニーマップへ落とし込む。
  • 理想およびバイアス破壊から生み出すイノベーション施策と、インサイトと顧客ジョブを洗い出し解決するインプルーブメント施策の創出。
  • 発想した製品・サービスの批判・評価を繰り返し、メンバーが心から情熱を燃やすことができ、かつ市場インパクトのある投資すべき注力施策へと落とし込む。

成果

当初の想定や期待を超え、インパクトある製品・サービスの創出、参加メンバーの思考・発想・行動に変化が生まれ、未来に向けたデザイン文化づくりとエンジニアリング・デザイン集団へのスタートを切ることができました。
現場での構想・実行・成果の各領域で、良い反応を頂きました。

  • 組織全体で具体的かつ刺激的な「ムーンショット」を打ち出したことにより、判断や行動の軸ができた
  • プロジェクトの終盤には、自分ゴト化したイノベーションとインプルーブメント施策が生まれ、次の段階へと進むことができた。
  • 参加メンバーのマインドセットが変化。周りや場をリードするファシリテーターが増え、建設的な批判を是とし、顧客に共感する機会が増え、構想や実行の質とスピードが上がった。

ご担当者さまからのコメント

本ワークショップは、今後、我々が超高齢社会に提供すべきサービスを描く重要なものでした。単なる介護現場の課題解決のみならず、理想の介護現場を我々自身が描くため、ネットイヤーグループの担当者と何度も打ち合わせを重ね、プロジェクト計画を一緒に作り上げていきました。また、プロジェクト推進中において、計画通りに進まない状況でも臨機応変に内容を修正しながらファシリテート頂きました。結果、組織メンバー全員が一つになりサービス開発に邁進するための軸となり得るムーンショットとビジョンを手に入れることができました。
ワークショップを通じ、具体的な施策案が得られたことだけでなく、参加メンバーのサービスデザインに対する意識が変わり、真にお客様中心の組織が生まれつつあることに感謝します。

コニカミノルタ株式会社
産業光学システム事業本部QOLソリューション事業部事業開発部
清水佳恵さま

プロジェクト情報

クライアント

コニカミノルタ株式会社

業種 : 情報機器、ヘルスケア、産業用材料・機器
コニカミノルタコーポレートサイト

プロジェクトメンバー

PM:井田 有里紗
DR:横山 信顕
DA:山田 直之

略称について

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