事例 株式会社トライト

「医療福祉業界の採用CX」をUX＆サービスデザインでアップデート！将来的な運用の内製化を可能にする独自のサポートプログラムも導入

株式会社トライト（以下、トライト）は2006年から医療福祉業界に特化した求人サイトと人材紹介サービスを運営している業界のトップランナーです。今回のプロジェクトでは医療と介護、それぞれの業界ごとに分かれていた「医療ワーカー」と「介護ワーカー」の2つのサイトを、求職者視点でUXの整理と改善を行いグランドサイトへの統合とリニューアルを実施しました。

ネットイヤーグループの強みであるユーザーエクスペリエンス（UX）の知見を活用し、医療福祉業界を志望している転職希望者のニーズをキャンディデイト・エクスペリエンス（採用CX）へと再構築しています。また、開発体制においては「アジャイル方式」を採用することで、仕様の変更や追加が容易にできるフレキシブルな開発体制で臨んでいます。UX/UIのアップデートはもちろんのこと、新たなサービスをデザインし「転職体験が向上する」さまざまな機能実装を行いました。

クライアントが抱えていた課題

転職マーケット全体でも募集企業と採用候補者の間には「情報の非対称性」という構造的な問題が横たわっていますが、医療福祉業界においては人材の不足や適切なマッチングが大きな課題として存在しています。

そういった人材領域の社会課題を解決するため、トライトでは医療福祉業界になくてはならないサービスの提供を目指し、人材を募集している企業と求職者の双方にとって有益なサービスをデザインする必要性を感じていました。

• 医療福祉業界の人材不足やミスマッチを解消し人材領域の社会課題を解決するサービスを提供したい
• 求職者のライフステージや転職意向のレベルに合わせた適切なコンテンツを提供したい
• オリジナリティある有益な情報を提供し求職者が効率的/効果的な転職を成功させるためのUXを実現したい
• キャリアアドバイザーを介さずとも募集企業と求職者が直接マッチングでき、必要な情報をスムーズに交換できる機能を実装したい

そこでトライトが選んだのは、ネットイヤーグループのビジョンドリブンとユーザードリブンの方式を掛け合わせた伴走型プロジェクト支援サービスです。目指すべきサービスの姿を共に創造し、将来的には開発や運用を内製化したいという要望も受けて、UXワークショップ/UX設計/サービスデザイン/アクセス解析/運用内製化のアセット作りに至るまで、幅広い領域を全面サポートしています。クライアントとの共創組織をベースとしたプロジェクトを立ち上げ、その第1弾として既存Webサイトの統合とリニューアルを推進しました。

人材不足の解消、安心・安全の医療/介護体制の実現を目指す

プロジェクトの成果

• 募集企業の特色や強みを求職者へ「直接届ける」仕組みを構築することができた
• 求職者が「欲しい」と思うタイミングや連絡手段で募集情報を受け取ることが可能になった
• アジャイル方式の開発スキームがクライアントに定着・内製化したことで効率的な開発と運用を可能とするアセットを残すことができた

ネットイヤーグループの提案

トライトが抱える課題に対してネットイヤーグループがまず初めに提案したのは、「目指すべきサービスの姿」を明確にしたうえで、人材を採用したい企業の視点で「採用課題を明確にすること」と、求職者の視点で「こんな機能があったらいいな」を実現し、転職を成功させるために存在している求職者のハードル（課題）を抽出することでした。

企業視点と求職者視点それぞれの課題を抽出・言語化

採用活動の成功を目指す募集企業と、医療福祉業界を志望する求職者、双方の視点からサービスのあるべき姿と現状のギャップを明確にしました。その観点で解決すべき課題を導出し、それぞれに最適化されたUXを設計、新たなサービスデザインを描くマイルストーンの解像度を上げています。

採用のCX＝キャンディデイト・エクスペリエンスをデザイン・実装

一般的なCXといえばカスタマーエクスペリエンスですが、昨今の人材業界において着目されているのが採用候補者の選考体験である「キャンディデイト・エクスペリエンス」の質の向上です。

転職はその人の人生に大きな影響を及ぼす活動です。求職者（キャンディデイト）にとって効率的で使いやすく、また人材を募集している企業にとっても、使い勝手がよく人材を見極められる機能を実装しています。求職者体験の質の向上や、企業の採用効率化につながる細やかな仕掛けを細部に施し「採用のCX」を推進しました。

WEB履歴書作成機能

転職活動における求職者の最初の作業的なハードルは、履歴書や職務経歴書の作成です。マイページ内に設置したワークプレイス上にいつでも更新・保存ができるようにマイページの機能として実装しました。希望する就業条件の保存・変更や、応募時の自己PR文もマイページ内で編集と管理が可能です。応募企業ごとに発生する求職者の個別作業を効率化、最小化することで応募時の作業面での煩わしさを軽減しています。また、募集企業からのダイレクトスカウトを受け取ることも可能にしました。

ダイレクトリクルーティング機能

医療福祉業界の求人メディアでは珍しい機能実装です。求職者が作成したマイページ上のWEB履歴書をもとに、企業の採用担当者が求職者に直接スカウトを送ることができる機能です。電話や面談が中心となるキャリアアドバイザー経由の活動と比較すると、求職者が自分の好きな時間帯に転職活動を行うことができる、というメリットがあります。この機能を実装することで転職活動にかける時間の削減や、応募チャネルの増加、募集企業が欲しい人材をスピーディーに見極め、アプローチすることも可能になっています。

スキルを見極め効率的にスカウト・求職者も応募チャネルが増加

リアルタイムでのチャット機能

キャリアアドバイザーおよび募集企業の採用担当者と求職者が、マイページ内のチャット機能でスムーズな情報のやり取りを可能にしました。求職者にとって敬遠されがちなメールでのやり取りや、架電によるコミュニケーションの負担を軽減することで求職者の転職活動をより良質でスマートな体験に変換しています。転職にかかる手間や煩わしいコミュニケーション体験を求職者の視点でアップデートしました。

アジャイル方式の開発体制が「UX×サービスデザイン」を加速させる

領域を横断したプロデュースとプランニングを可能とするケイパビリティ

アジャイル開発という言葉がメジャーなキーワードになって久しいですが、日本ではまだ定着しきっている開発方式ではありません。アジャイル開発には専門的な知見と実行力、それを可能にする推進力が必要となります。

今回のプロジェクトではサービスの目指すべき姿からクライアントと共創したこともあり、リニューアルサイトの細かな要件を定めることが難しいプロジェクトでした。そのため、従来のウォーターフォール型の開発を選択してしまうと時間もコストも膨大にかかり、仕様の変更や追加対応が難しいという側面がありました。

クライアントのビジネスゴール達成のために必要なリソースを適切かつスピーディーに集約できるのがネットイヤーグループのケイパビリティでもあり、UXデザインの落とし込みやサービスデザインを加速させることができるのもアジャイル開発方式の特長です。

UX/UIの人材・ナレッジ不足、開発と運用体制の内製化という大きな課題に対し、領域を横断した独自の支援プログラムで一気に解決へ導く

開発と運用の内製化ー自立自走できる体制の構築支援

人的リソースに関する課題においても「UX/UIに詳しい人材が少なくナレッジが不足しているためプロジェクトを通して知見を貯めたい」という要望に応えるため、あらかじめ将来的な開発や運用の内製化を見据えた体制を構築しました。メンバーのスキルトランスファーを目指した独自の内製化サポートプログラムがそれを可能にしています。これにより人的リソースの最適化や人材育成、持続可能な開発体制の構築ノウハウがクライアントの資産として残り続けます。

内製化を可能にするプログラムの一部

今後の展望について

今後もユーザーの良質な顧客体験を実現するため、日々アップデートを重ねながらトライトワーカーを進化させていく予定です。将来的には、サイト内の体験だけでなく「サイトに訪れるまでの体験」や「サービスを利用した後の体験」など、さらなるキャンディデイト・エクスペリエンスの向上を目指します。制作領域にとどまらずSXO（検索体験の最適化）やCRM領域など、新たな顧客接点の創造を含めた支援も行っていく予定です。

ご担当者様からのコメント

トライトが提供するサービスのUX向上はもちろんのこと、自社サービスを「企画する力」「デザインする力」「育てる力」の３つを高める狙いがありました。また、この伴走型プロジェクトをきっかけに組織としても成長し、開発力も内製化するという展望も描いていました。

これまで外部のパートナーを巻き込んだ大型案件の前例がなかったので、やや不安もあったのですが、ネットイヤーグループはUX/UIやWebデザインを担うだけでなく、私たちの組織力強化の意図を汲んだプロジェクトデザインで、成長の道筋を明確に提示してくれました。

実現のハードルは高かったと思いますが、最終的に私たちの要望が叶った形でサービスをローンチすることができました。弊社の内部メンバーの企画力・開発力・サービスを育て続ける文化が醸成された実感もあるので、ネットイヤーグループに依頼して正解でしたね。これからさらに進化していくUXとサービスデザインに多くの期待を寄せています。

株式会社トライト
マーケティング本部 サービス企画・開発部
部長 出雲真輔さま

プロジェクト情報