事例 株式会社NHK出版

Z世代の認知拡大
――TikTokを活用した出版業界のデジタル広告プロジェクト

株式会社NHK出版(以下、NHK出版)は、2022年「春の語学テキスト販促キャンペーン」(通称“春キャン”)で、Z世代の認知拡大とテキスト購読者の増加につなげる新たな施策を実施しました。ネットイヤーグループは、毎年この“春キャン”において、デジタル広告のメディアプラン作成、広告配信、レポーティングなどの支援をしています。

今回は、NHK出版マーケティング局企画・宣伝部の佐藤信輔氏、内藤伊音氏に“春キャン”施策についてお伺いしました。

「春の語学テキストキャンペーン」について

<NHK語学テキスト>

NHKのラジオ・テレビの語学番組は、毎年4月にスタートするので、番組内容に基づいたテキストも春に新年度版が刊行されます。ここから1年間、番組を視聴しながらテキストを継続購入いただけるかは、このタイミングが勝負となるため、例年の販売促進企画として“春キャン”を実施しています。従来は書店様に専用コーナーを設けていただくなど、店頭での訴求から逆算した広告展開を主としていましたが、10年ほど前からWebを活用したデジタルでの施策展開にも力を入れるようになりました。

課題となっていたこと

“春キャン”に限ったことではないのですが、NHKのテキストは、若年層の認知獲得が大きな課題でした。購買データや読者からのアンケートを見ると、50~60代の方が多く、そもそも学生さんなどは「NHKの番組で語学を学べること」、「それに合わせたテキストがあること」を知らないという課題がありました。テキストを利用して学ぶと、理解度も学ぶ内容も深まりますが、それ以前に認知度が低くテキスト購入へのハードルが高かったのかもしれません。

ネットイヤーグループの提案内容について

ネットイヤーグループとは、10年以上のお付き合いとなります。今回も厳密な要望を出したわけではないのですが、データ活用の知見、デジタル分野での新たな切り口やトレンドの紹介にはいつも期待しています。

ネットイヤーグループの提案を受け、2022年に初めて実施したのがTikTokの広告配信です。人気のコンテンツ『英語力測定テスト』を広告として配信することで、若年層にNHKテキストの存在をアプローチしたのです。また、TikTokで人気のインフルエンサーに、測定テストを体験してもらうことでNHKテキストでの語学学習を「自分ごと化」してもらうことに取り組みました。当初は不安もありましたが、反響は大きく、多くの10代ユーザーがテストを受けてくれました。SNSのインフルエンサーと組むのも初めてでしたが、インフルエンサーの個性を活かしながらNHKテキストの気軽さや語学学習の楽しさを伝える投稿になるよう、うまくクオリティコントロールしていただけたと感じました。

スマートニュースへの広告配信も今回初めて実施しました。媒体に合わせた記事の選定や入稿についても、ネットイヤーグループの担当者にスムーズにサポートいただけました。2022年の“春キャン”は例年よりもポップなビジュアルを活用したので、それが媒体に合っていたように感じています。

ネットイヤーグループには、毎年“春キャン”の振り返りレポートを提出いただいています。どうしても社内でのデジタル広告施策への理解にバラつきがあるため、特に今年は「専門用語や略称はなるべく使用せず、デジタルに詳しくない人でも感覚的に理解できるレポートを」とリクエストをしたのですが、それにもしっかり応えていただけました。ビジュアル化されたレポートで、社内でも好評でした。

「春の語学テキスト販促キャンペーン」の成果

『英語力測定テスト』を受けるユーザーが増加したことも影響してか、NHKテキストの認知が広がっただけでなく、英語テキストの販売数も前年よりアップしました。ネットイヤーグループに通年で販促プランや顧客データ活用にお力添えいただいているECサイトでの販売も好調です。出版界全体が厳しい中で、健闘していると実感しています。

このあたりは今年だけでなく、これまで積み上げてきた成果の表れかと感じています。NHKテキストを知る→どのテキストが自分に合いそうか選ぶ→テキストの中身を知って体験する→納得して購入する。さまざまな状態にいる想定(見込み)読者の、それぞれのステップに合わせた施策を実施してきたことが、現状の成果に結びついていると思います。

ネットイヤーグループの印象

新たな知見を与えてくれる会社という印象です。施策を売ろうとしてくるのではなく、当社と併走して最適解を探ってくれると言えばよいでしょうか。長いお付き合いですが、毎年同じ施策を提案してくるのではなく、何かしらの新たな施策を提案いただけるのは楽しみでもあります。こんなことができればいいなと、固まっていないアイデアをカタチにしてくれるというイメージもありますね。

また、いつもわかりやすく詳細な工程表を組んでいただいています。そのフォーマットを参考にすることで、他施策で外部に依頼していたことを内製化することにつながり予算配分の自由度も高まりました。

2022年“春キャン”振り返りと今後の展開

2022年は、「英語やるならNHKテキスト」という直球のコピーで勝負しました。これがとても好評で、「英語学習が気になる」人たちの気持ちをつかめたと感じています。NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の人気も追い風となり、語学番組の減少でテキストの種類は減りましたが、売行きは前年より好調でした。

今後も、語学を続けていく人のサポートはもちろん、新規獲得施策や休眠読者の掘り起こし施策を展開していく計画です。デジタル広告の展開で得た知見をリアルの書店にも活用していくことも次の課題だと思っています。

当社は2031年に創立100周年を迎えます。
“出版”というオールドなメディアが、デジタル活用という手段を自在に操って新たな読者を獲得していくためにも、ネットイヤーグループにはこれからも斬新な知見や施策でサポートいただきたいです。

<NHK出版の佐藤信輔氏、内藤伊音氏と弊社プロジェクトメンバー>

プロジェクト情報

クライアント

株式会社NHK出版

業種:情報・通信業

株式会社NHK出版公式サイト
プロジェクトメンバー

吉池早織(アカウントマネージャー/プロジェクトマネージャー)
高杉祐斗(ディレクター/データアナリスト)

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